キョウ

チルノ「よっ!ほっ!はっ!……そんな、弾幕はあたいには、当たらないよ。」

透「くっ!」

確かに、俺の弾幕はルーミアの弾幕にすら及ばない濃度だ。

チルノ「ほらほら、ほらぁ!」

透「うぉ!?」

そういや……避ける練習とスペルカードしかやってないじゃん俺!? 弾幕は、最初しかやってない!?

結果。
チルノが調子こいて弾幕を撃ち、俺が避け続ける感じになってしまった。

――霊夢の結界の中――

魔理沙「面白くない勝負だぜ。」

ルーミア「仕方ないよ。透は、空を飛ぶのも、弾幕で撃ち合いするのも初めてなんだよ?」

霊夢「見てる限り、馬鹿の弾幕は透に当たらず、透の弾幕は馬鹿に当たらず……ね。」

魔理沙「やっぱり、勝負を決めるのは…」

霊夢「透のスペルカードね。」
ルーミア「スペルカードだね。」

魔理沙「私の決めゼリフを取るなーー!!?」


――結界の中でした。――

チルノ「ちょこまかと、避けてないで……いい加減に当たりなさいよ!!」

透「だったら、お前が当たれーーー!!!」

チルノとは、一定の距離を取りながら弾幕を撃ち合っているが……これじゃ、埒があかない。

距離があって当たらないなら、近づいて撃つしかない…よな。
後は、このスペルカードだけか……

チルノ「あぁ。ムカつく! こうなったら…スペルカード!…」

透「!?……させるか!スペルカード!ユメ『狂う者』!!」

チルノ「えっ?」

見せるイメージは……これだ!!






チルノ「あれ? ここは、一体どこなのよ?」

レティ?「チルノ。」

チルノ「レティ!? どうして、こんな所にいるの?」

レティ?「そんなことより、ほら、チルノが大好きなアイスを沢山持ってきたわ。一緒に食べない?」

あたいの目の前に大量のアイスの山が現れた。 どれも、美味しそうな気がする……

チルノ「食べる!食べるわ!
……何、してるの? レティも早く食べなさいよ!」

レティ?「ふふ……そうね。
それじゃ、私も頂くわ。」





ルーミア「チルノちゃん、何か幸せそうだね。」

透「そうか? 今回は、『仲が良い人と大好物を一緒に食べる、チルノ。』…をイメージしたんだよ。」

霊夢魔理沙の時とは、正反対ね。」

魔理沙「………まっ、これで透の勝ちだよな?」

霊夢「そうね。馬鹿妖精は戦闘不能でしょ。」


――夕方――

チルノ「次は負けないからな~~!」

ルーミア「バイバ~~イ♪」

チルノが目を覚まし、ルーミアと一緒に帰って行った。

透「さよなら~~」

帰って行くルーミア達を見送っていると…

魔理沙「私も、帰るぜ。」

魔理沙が箒に乗りながら言ってきた。

霊夢「そっ。さよなら。」

魔理沙「あぁ。……おっと、明日、透に紹介したい奴がいるんだけど、借りていいかい?」

霊夢「か、借りるもなにも、それは、透次第でしょ?」

透「そうだな。行ってみようかな。」

霊夢「ぁ……」

魔理沙「それじゃ、明日迎えに来るから。」

魔理沙は、返事を聞くと飛んで行った。

透「元気だな。……霊夢?」

霊夢「え? えと……ほら、寒くなってきたから中に入りましょ。」

透「あぁ。そうだな。」



それから、霊夢が少し元気がなく、話しかけても…

霊夢「ごめん。なんだっけ?」

って、感じであった。




――夜――

透「何か、今日1日でかなり疲れたな。」

霊夢の元気が無かったのも気になるけど……いいや、眠いし、寝よう。




透「? どこだ? ここ?」

?「ここは、狂う者の世界よ。……持ち主様。」

声をした方をみると、

透「霊夢?」

霊夢が立っていた。

霊夢?「残念。霊夢の姿をしているだけよ。……そうね。キョウって、呼んでくれる?」

透「キョウ、だな。分かった。……ここは、狂う者の世界って言ったよな?」

キョウ「そうよ。本当は、持ち主様をこの世界に入れるのは、気がひけるけど……文句があってね。」

透「文句?」

キョウ「チルノに使った、イメージよ。 この世界は元々、人を殺す世界なのよ? それを幸せな世界にするなんて……私の存在を否定された気分よ。」

透「いや、それは、その……」

キョウ「別に良いわよ。 持ち主様の性格は知ってるし…邪魔者もいるしね。……でも、持ち主様がいつか、殺す世界をイメージする事を待ってるわ。」

そう言うと、キョウの体は透け始めた。

キョウ「私の文句は、これだけだから、持ち主様を元の世界に帰すわね。」

透「なぁ……俺も文句があるんだが?」

キョウ「? 何かしら?」

透「今度からは、名前で呼んでくれ。 これは、持ち主様命令だから、言い訳は無し。」

キョウ「……はは、おかしな人ね。分かったわ。 それじゃ、機会があればまた、会いましょ。透。」

透「あぁ。またな。」


そうして、俺の意識は消えていった。