俺の逆転劇だ
まぁ……咲夜と勝負しなかっただけ良しとしよう。
透「とりあえず、歩くか。」
適当に廊下を歩いていると、地下に降りる階段を見つけた。
透「階段なんてあったんだな。」
さっきは、避けるのが精一杯で周りの風景まで見ていられなかったからな。
透「……行ってみるか。」
階段を登った記憶は無いが、何か行ってみたい気分になった。
降りて行くと、ドアがあった。
コンコン。誰もいないと思うけど……一応、ノックしないとね。
?「は~い。どうぞ~~。」
中から返事が帰ってきた。
透(誰かいた!?)
ドアの前で固まっていると……
?「入らないの?」
透「お、お邪魔しま~す。」
中に入ってみると、小さい女の子がソファーの上に座っていた。
?「あなたは、誰?」
透「天川 透だ。」
?「トヲル?」
透「透。」
?「トール?」
透「違う、透だ。」
?「トロール?」
透「俺は怪物かっ? もう一回!!」
?「トオル?」
透「……それで、いいや。」
?「うん、トオルね。 私は、フランドール・スカーレット。吸血鬼なのよ。」
透「へぇー。」
フラン「驚かないの?」
透「いい加減、慣れてきたからな。」
フラン「つまんない。……ねぇ、トオルは、弾幕ごっこ出来る?」
透「弾幕勝負のことか? 弱いけど、一応、出来るぞ。」
フラン「ホント!? じゃあ、私と遊ぼ!」
透「弾幕でか?」
フラン「そう! 弾幕でよ。」
透「まっ、いっか。 相手をしてやるよ。……でも、手加減してくれよ?」
フラン「わ~い♪ じゃあ、行くよ。 (手加減って、なんだろう?)
言うや直ぐに弾幕が飛んできた。
透「あぶねっ!」
つーか、ここじゃ狭すぎる! 俺は、急いで階段を登り廊下に出た。
フラン「いきなり、逃げないでよ。」
フランも直ぐに追ってきた。
透「今度は、こっちの番な。」
俺は、まず浮いた。走ったんじゃ、飛んでるフランのスピードについていけない。と思ったからだ。
フラン「どんな弾幕が来るのかなぁ~~♪」
フランに向けて弾幕を撃った。
フラン「よっ……と。」
いとも簡単に避けられた。
フラン「次は、私ね。壊れないように頑張って、そして私を楽しませてね?トオル!」
凄い濃度の弾幕が飛んできた。
透「おわっ!」
それを何とか避けた。……が、
フラン「まだまだぁ!」
第二波が来た。
透「おわっ!」
それも、何とか避けて、廊下を進んだ。 もちろん、フランが追って来るのを確認しながら。
透(あそこだ!)
廊下の角を曲がったところで、180度転回して、フランが来るのを待った。
フラン「まて待てぇ~~……っ!?」
透「喰らえ!」
曲がった瞬間に、目の前にいた俺に、一瞬驚いたフランに弾幕を浴びせた。
フラン「キャアーー!?………痛いじゃない!」
煙が無くなると、服が少し破れた程度のフランがいた。
透「……マジかよ。」
フラン「私を驚かしたお礼にこれを使ってあげる。……禁忌『レーヴァテイン』!!」
フランの手に巨大な紅い剣が握られていた。
透(しまった。スペルカードを使わせてしまったか。)
フラン「行くよ~~♪」
その剣をこっち目掛けて振ってきた。
デカイ分、回避が楽だと思っていたら……
フラン「それそれそれ、それーー!!」
透(振るスピードがめっちゃ速えぇぇ!?……っしまった、行き止まりかよ。)
フラン「チェックメイトー!」
元気な声で、剣を向けて突っ込んできた。
透「うわぁぁー!!!」
俺は、フランに切られる自分の姿を想像してしまった。
フラン「あれ?何で、切れてないの?」
透「はい?」
目を開けると、フランは、不思議そうな顔で、こっちを見ていた。
フラン「ねぇねぇ。何で?」
透「な、何がだ?」
フラン「だ~か~ら~、私はトオルを切ったつもりなのに、どうして、トオルは切れてないの?」
透「切ったつもりなのに、切れてない?」
透(さっき、俺は、切られる自分を想像した。……もしかして)
透(フランの後ろに俺がいる。)
フラン「えっ?…えーい!……あれ?…まただ。」
透(やっぱり。……これが、俺の能力ってやつか。おそらく、相手に自分がイメージしたものを見せるのか……これなら、いける!)
透「フラン。これからが、俺の逆転劇だ。」
フラン「……良いわ。私も本気で行くよ。」
透(まずは……)
フラン「突っ込んできて、勝てると思うの?」
フランは、剣を横に振った。
俺は、それを余裕で避けてフランの目の前に行った。
フラン「また!? 切ったはず…」
透「おらっ!」
驚いているフランの腹に弾幕を撃ち込んで、更に蹴りもいれておいた。
フラン「キャア!」
フラン(どうなってるのかな?切ったトオルがくっついた?……違うよね。 切った透と別に切られてないトオルがいるの?)
透(作戦成功。次は…)
透「次、行くぞフラン?」
フラン「良いわよ。だんだん、楽しくなってきたわ。」