レディに運ばすつもりかしら?

透&フラン「それは?」

咲夜「この、泥棒ネズミがお嬢様のお部屋を壊したのです。」

その声と共に咲夜が現れた。……左手には箒を持ち、右手には魔理沙を抱えながら。

透(何か、面白い構図だな。)

フラン「魔理沙、やられちゃたの?」

咲夜「いえ……やられたと申されますより、自滅です。」

フラン「自滅?」

透「再現VTRどうぞ、だぜ。」








――透とフランが遊んでる(?)頃――

魔理沙「そんな、弾幕じゃ、私には当たらないぜ!?」

魔理沙は、廊下を上下や左右に、はたまた急上昇や急降下などアクロバットな動きをしながら咲夜の弾幕を避けていた。

咲夜「く、ちょこまかと!!」

咲夜(紅魔館の中だから、壊さないように加減をしているのに!)

魔理沙(今日の咲夜は、体調が悪いのか?……だったら、)

魔理沙は、猛スピードで廊下の角を曲がり、180度回転した。

咲夜「待ちなさい!……!?」

追うと、スペルカードを持ってる魔理沙がいた。

魔理沙「決めるぜ! スペルカード……マスター…」

咲夜(あれは……マスタースパーク!? まずいっ!)

咲夜「時間よ!」
魔理沙「スパーク!!」



魔理沙の手のひらから、太い一本のレーザーが発射された。

魔理沙「…やったか?」

咲夜「残念だけど、外れよ。」

魔理沙(ギリギリで能力で避けたな…)

魔理沙の考えは当たっていた。咲夜は、時間を操る事が出来る。マスタースパーク発射の時間を止めれば簡単に避ける事が出来る。

二人がにらみ合いをしていると、第三の声が現れた。

?「あなた達、一体なんてことをしてくれたの!?」

そこには、紅魔館の主、レミリアが立っていた。……服は、少し破れ、帽子もなく、震えながら。

咲夜「お、お嬢様!? 一体何が?」

レミリア「何が?ですって? 咲夜、この紅魔館のメイド長なのにそんな事も分からないの?」

咲夜「そ、それは……」

咲夜は、うつむいてしまった。
レミリア「分からないのね? だったら、教えてあげるわ。」

レミリアによると、自室で休んでいたら、いきなりレーザーが来たらしい。

魔理沙は、自分のマスタースパークの先を目で追った。
確かに、マスタースパークの先には、粉々に壊れて、空が見える部屋があった。

レミリア「咲夜が情けないせいで、魔理沙が暴れるせいで……」



レミリアは体をさらにプルプルし始めた。

魔理沙「さ、咲夜? 何かレミリアの周りが……」

咲夜「えぇ。お嬢様の周りの空気が唸っているわ。」

レミリア「ティータイムが台無しじゃない!!!!」

レミリアは、怒鳴ると何か紅い物を投げた。

魔理沙&咲夜(……グンニグル!?)

廊下いっぱいの紅い槍が飛んできた。

咲夜「くっ、時よ!」

そう言うと、咲夜の姿は消えた。

魔理沙「ず、ズルいぞ自分だけっ!……畜生!!」

魔理沙も槍と廊下の隙間に逃げこんだ。

魔理沙「危なかったぜ。……いっ!?」

ふぅ。と息を漏らした魔理沙にグンニグルの通過でダメージを負った天井の欠片が落下し、命中した。

レミリア「咲夜。魔理沙を運びなさい。…私は、もう一ヵ所の弾幕を止めに行くから。」

咲夜「かしこまりました。お嬢様。」

咲夜が、お辞儀をするとレミリアは飛んでいった。

咲夜(……何か、魔理沙に悪い事をした気分だわ。)





透「以上。再現VTRでした。」

透(何か、怒る理由が子供っぽいな。雰囲気は、大人な感じなのに……)

フラン「でも、お姉様の服は綺麗だよ?」



レミリア「お客様がいるのに、はしたない格好で出る訳にもいかないから、引き返して咲夜に作ってもらったの。」

透(咲夜……スゲェー!!)

フラン「そうだったんだ。……お姉様。」

レミリア「何かしら?フラン。」

フラン「私、もう少しだけ、トオルと遊びたい。」

レミリア「え?」
透「なに?」

フラン「だめ?」

レミリア「……仕方ないわね。でも……咲夜。」

咲夜「かしこまりました。」

咲夜の姿が消えた。

レミリア「遊ぶのは、昼食を食べてからにしましょ?」

フランは嬉しいそうに、頷いた。

レミリア「トオル。申し訳ないけど、魔理沙を運んでくれないかしら?」

透「俺が?」

レミリア「レディに運ばすつもりかしら?」

レミリアは、口元に笑みを作りながら言った。

透「分かったよ。」

俺は、寝かされている魔理沙を背負い、箒を回した手で持った。 そして、前を歩く吸血鬼の姉妹の後を追った。

姉妹の吸血鬼か

透「行くぜ。」

俺は能力でを使い、(まず、左から俺が弾幕を撃つをイメージ。フランが対処してるうちに……)

フラン「嘘っ!?(さっきまで、前にいたのにっ?)」

フランが弾幕を避けて、イメージの俺に切りかかった。

透「後ろが、がら空きだぞ?」

(後ろに回り込んで、弾幕を……撃つ!)

フラン「くっ!」

(後ろから!? じゃあ、前にいるのは……偽物なのっ?)

透「外した!?」

フランは、有り得ない動きで、弾幕を避けた。

フラン「残念でした♪私達、吸血鬼は身体能力が人間とは、比べられないぐらいに高いんだよ。」

透「くそぅ。魔理沙みたいに威張りやがって。」

フラン「でも、トオルも凄いよ? 私、トオルと遊ぶの楽しいよ。」

透「楽しいんでくれるのは、嬉しいけどさ……」

(廊下に弾幕とレーヴァテインの跡、窓ガラスにいたっては、殆んどが割れているな。)

透「咲夜に見つかったらお仕置きされるな。」

フラン「あはは。そうかもね。…私も咲夜に怒られるかな?」

透「さぁな。」

?「二人とも、これ以上紅魔館を壊さないでくれるかしら?」

透「?」


 声がした方を見ると、フランと対して変わらない、体型の女の子がいた。

フラン「お姉様!?」

フランが、驚いた声を出した。

レミリア「初めまして、トオル。 私が、この紅魔館の主のレミリア・スカーレットよ。」

透「あぁ。初めまして。 天川 透だ。 フランも名前にスカーレットって付いていたよな?」

レミリア「そうよ。フランは私の妹だもの。」

やっぱり。フランもお姉様って、呼んでいたしな。

透「姉妹の吸血鬼か。」

レミリア「珍しいかしら?」
フラン「変なの?」

透「いや、全然。もう、大抵の事じゃ驚かないからな。……レミリア、もう一回俺の名前を言ってみてくれ。」

レミリア「?…トオル。」

透「……お前まで、その発音をするのかっ?」

俺は膝から砕け落ちた。

レミリア「あら? どこか変だったかしら? フランもこう呼んでいたから、これで正しいのかと思ったわ。」

フラン「ごめんなさい。お姉様。……部屋から出ちゃった。」

レミリア「良いわよ。今回は。遊んでいたみたいだしね。」

透「それだ。何で今、止めに入ったんだ?」


レミリア「それは……」

俺の逆転劇だ

まぁ……咲夜と勝負しなかっただけ良しとしよう。

透「とりあえず、歩くか。」

適当に廊下を歩いていると、地下に降りる階段を見つけた。

透「階段なんてあったんだな。」

さっきは、避けるのが精一杯で周りの風景まで見ていられなかったからな。

透「……行ってみるか。」

階段を登った記憶は無いが、何か行ってみたい気分になった。

降りて行くと、ドアがあった。
コンコン。誰もいないと思うけど……一応、ノックしないとね。

?「は~い。どうぞ~~。」

中から返事が帰ってきた。

透(誰かいた!?)

ドアの前で固まっていると……

?「入らないの?」

透「お、お邪魔しま~す。」

中に入ってみると、小さい女の子がソファーの上に座っていた。

?「あなたは、誰?」

透「天川 透だ。」

?「トヲル?」

透「透。」

?「トール?」

透「違う、透だ。」

?「トロール?」

透「俺は怪物かっ? もう一回!!」

?「トオル?」

透「……それで、いいや。」

?「うん、トオルね。 私は、フランドール・スカーレット。吸血鬼なのよ。」

透「へぇー。」

フラン「驚かないの?」


透「いい加減、慣れてきたからな。」

フラン「つまんない。……ねぇ、トオルは、弾幕ごっこ出来る?」

透「弾幕勝負のことか? 弱いけど、一応、出来るぞ。」

フラン「ホント!? じゃあ、私と遊ぼ!」

透「弾幕でか?」

フラン「そう! 弾幕でよ。」

透「まっ、いっか。 相手をしてやるよ。……でも、手加減してくれよ?」

フラン「わ~い♪ じゃあ、行くよ。 (手加減って、なんだろう?)

言うや直ぐに弾幕が飛んできた。

透「あぶねっ!」

つーか、ここじゃ狭すぎる! 俺は、急いで階段を登り廊下に出た。

フラン「いきなり、逃げないでよ。」

フランも直ぐに追ってきた。

透「今度は、こっちの番な。」

俺は、まず浮いた。走ったんじゃ、飛んでるフランのスピードについていけない。と思ったからだ。

フラン「どんな弾幕が来るのかなぁ~~♪」

フランに向けて弾幕を撃った。
フラン「よっ……と。」

いとも簡単に避けられた。

フラン「次は、私ね。壊れないように頑張って、そして私を楽しませてね?トオル!」

凄い濃度の弾幕が飛んできた。

透「おわっ!」

それを何とか避けた。……が、

フラン「まだまだぁ!」

第二波が来た。

透「おわっ!」

それも、何とか避けて、廊下を進んだ。 もちろん、フランが追って来るのを確認しながら。

透(あそこだ!)

廊下の角を曲がったところで、180度転回して、フランが来るのを待った。

フラン「まて待てぇ~~……っ!?」

透「喰らえ!」

曲がった瞬間に、目の前にいた俺に、一瞬驚いたフランに弾幕を浴びせた。

フラン「キャアーー!?………痛いじゃない!」

煙が無くなると、服が少し破れた程度のフランがいた。

透「……マジかよ。」

フラン「私を驚かしたお礼にこれを使ってあげる。……禁忌『レーヴァテイン』!!」

フランの手に巨大な紅い剣が握られていた。

透(しまった。スペルカードを使わせてしまったか。)

フラン「行くよ~~♪」

その剣をこっち目掛けて振ってきた。

デカイ分、回避が楽だと思っていたら……

フラン「それそれそれ、それーー!!」

透(振るスピードがめっちゃ速えぇぇ!?……っしまった、行き止まりかよ。)

フラン「チェックメイトー!」

元気な声で、剣を向けて突っ込んできた。



透「うわぁぁー!!!」





俺は、フランに切られる自分の姿を想像してしまった。

フラン「あれ?何で、切れてないの?」

透「はい?」

目を開けると、フランは、不思議そうな顔で、こっちを見ていた。

フラン「ねぇねぇ。何で?」

透「な、何がだ?」

フラン「だ~か~ら~、私はトオルを切ったつもりなのに、どうして、トオルは切れてないの?」

透「切ったつもりなのに、切れてない?」

透(さっき、俺は、切られる自分を想像した。……もしかして)

透(フランの後ろに俺がいる。)

フラン「えっ?…えーい!……あれ?…まただ。」

透(やっぱり。……これが、俺の能力ってやつか。おそらく、相手に自分がイメージしたものを見せるのか……これなら、いける!)

透「フラン。これからが、俺の逆転劇だ。」

フラン「……良いわ。私も本気で行くよ。」

透(まずは……)

フラン「突っ込んできて、勝てると思うの?」

フランは、剣を横に振った。
俺は、それを余裕で避けてフランの目の前に行った。

フラン「また!? 切ったはず…」

透「おらっ!」

驚いているフランの腹に弾幕を撃ち込んで、更に蹴りもいれておいた。

フラン「キャア!」

フラン(どうなってるのかな?切ったトオルがくっついた?……違うよね。 切った透と別に切られてないトオルがいるの?)

透(作戦成功。次は…)

透「次、行くぞフラン?」

フラン「良いわよ。だんだん、楽しくなってきたわ。」

不公平だろ?

透「で?今度は何処に向かってるんだ?」

魔理沙「もうすぐ、だから待ってな。」

アリス「でも、簡単に入れないでしょ?」

魔理沙「その辺も問題、無いぜ!」

そして、湖の上までやってきた。

魔理沙「透とアリスは、ここで、待機しててくれ。」

魔理沙は、俺達を残して、湖の真ん中にある島に降りていった。島の方からも、誰か出てきたようだ。

?「魔理沙さ~ん、ここに来ちゃ行けませんよ~~。」

魔理沙「よぉ……マスタースパーク!!」

?「キャーー!!?」

透「なっ!?」

島から出てきた人を、撃墜したのであった。

魔理沙「二人ともー! 早く来いよーー!!」

アリス「さっ。行きましょ。」

透「あ、あぁ。」

アリスが動揺していない?……前にもあったのか。 誰だか知らないが、可哀想な人だな。

魔理沙「さぁ、着いたぜ!」

その後、立派な館の窓ガラスを割り、デッカイ扉をぶち破り、完璧な不法侵入をしたのであった。

?「魔理沙?、それにアリスも? 今日は、お客さんが多いわね。」

魔理沙「よぉ。パチュリー。遊びに来たぜ。」

アリス「こんにちは。借りていた本を返しに来たわ。」


上海「……」
…お辞儀。

?「魔理沙の場合は泥棒でしょ?……で?、そっちの彼は?」

透「魔理沙の友人の天川 透だ。ちなみに、普通の人間だ。」

パチュリー「私は、パチュリー・ノーレッジ。魔女よ。 それと、こっちは、私の使い魔の小悪魔よ。」

小悪魔「初めまして。」

透「こちらこそ、初めまして。」

お互いにお辞儀をしあった。

透「しかし、凄いなここは。」

小悪魔「驚きました?」

透「まぁな。本の数もそうだが、環境もな。」

人間の数十倍ある本棚にびっしりと本が収まっており、奥の方が見えない。」

透「本を読むには、暗すぎないか?」

カーテンを開ければ明るいだろうが、全部閉まっていて、ランプの明かりだけで、本を読んでいた。

パチュリー「これぐらいが良いのよ。」

透「そんなもんか?」

パチュリー「えぇ。」





――テラス――
?「咲夜。」

咲夜「はい。お嬢様。」

?「お客さんが来てるみたいだから、接客をお願い。」

咲夜「かしこまりました。」






――図書館――

小悪魔「へぇ。透さんは、外の世界から来たんですか。」

透「あぁ。しかし、ここの本は、難しいな。」



パチュリーの近くにあった本を読んでみた。

透「三途の川の幅増大計画。三途の川って、存在したんだな。」

小悪魔「透さんの世界……国にも本って、あるんですか?」

透「そりゃあ、あるよ。 ネギ〇!とかエヴァンゲリ〇ンとかアクエリ〇ンとかギャラクシ〇エンジェルとか桃〇郎とかコ〇ドギアスとか、いろいろたくさんあるぞ。」

パチュリー(……どんな本かしら?)

小悪魔「ほへ~~、内容は分かりませんが、凄いたくさんあるんですね。」

透「そうだな。」


コンコン。

図書館の入り口に誰かが立っていた。

?「失礼します。」

パチュリー「……」

小悪魔「咲夜さん?」

魔理沙「メイド長か。」

アリス「咲夜?」

透「だから、誰?」

それぞれがリアクションを取っている間に、こちらにティーセットを持って歩いてきた。

?「パチュリー様とお客様達にお茶をお持ちしました。」

パチュリー「そこに置いといて。」

女性はパチュリーに言われた場所にティーセットを置き、こっちを向いた。

咲夜「初めまして。この紅魔館のメイド長を任されております。 十六夜 咲夜と申します。」

礼儀正しくお辞儀をしてきた。

透「あっ。こちらこそ、天川 透だ。」

俺もお辞儀した。

魔理沙「さっ。お茶を頂こうぜ!」

咲夜「待ちなさい。」

魔理沙「?」

咲夜「私は、お客様達にお茶を持って来ました。……魔理沙、貴女には紅魔館を壊したため……少しお仕置きをさせてもらいます。」

パチュリー「……ここでは、殺らないでね。」

魔理沙「……透!逃げるぞ!!」

魔理沙は、俺の服を掴んで、廊下に逃げ出した。

咲夜「待ちなさいっ!!」

透「俺が逃げる理由は!?」

魔理沙「私だけだと、不公平だろ?」

透(正直、お前が悪い!!)

魔理沙「うわ!?」

透「なにっ!?」

ナイフが飛んできた。 どうやら、ナイフが咲夜の弾幕らしい……

透「ナイフって、危なくね!?」

魔理沙「わっ? 危ないから動くなよ!?」

透「いや! 動かないと当たってるんだよ!!」

何とか、ナイフを避けていると……体が落下した。

透「は?」

そして、そのまま廊下を転がった。

魔理沙「すまん! 透ぅ~~」

咲夜「申し訳ありませんが、あの馬鹿を捕まえなくてはいけないので失礼します。」

すぐに来た咲夜は、そのまま、魔理沙を追っていたようだ。

透「さて…と。これからどうっすかな?」

スカートの中を見た

透「で? 俺達はどこに向かっているんだ?」

魔理沙「私の友人の家に向かっているぜ。近いからすぐに着くぜ。」

今、早朝から俺は魔理沙に縛られ、箒から吊るされて飛んでいる。

透「せめて、霊夢に行ってきます。ぐらいは、言いたかったかな。」

魔理沙「その体制は良いのかよ?……まぁ、置き手紙もあるし、霊夢は大丈夫だと思うぜ。」

そんなこんなで、森の中にある一軒家に到着した。

魔理沙「さぁ、着いたぜ。そして、入ろううぜ!」

透「しかし、こんな朝早くからお邪魔しても大丈夫なのか?」

魔理沙「大丈夫。大丈夫。……おーい、アリス~~ 飯を食べに来たぞー!!」

ドアを叩きながら、アリスと言う人を呼んだ。

そして、すぐにドアは開いた。

アリス「そんなに、怒鳴らくても聞こえてるわよ。魔理沙。」

中から現れたのは、まるで人形のような格好をした女の子が出てきた。

アリス「貴方が透ね。話なら、魔理沙から聞いてるから、入って。入って。」

透「あぁ。」



透(話しって、何の事だ?)

魔理沙(昨日、別れた後にアリスの家に寄ったんだよ。)

透(俺の予定は、完全無視だったな?)

魔理沙(あははは。まぁ、実際来てるから良いじゃないか!)

アリス「何を話してるの?」

魔理沙「いや、何でもないぜ。」

透「強いて言うなら、魔理沙の自分勝手さについてだ。」

魔理沙「透!?」

魔理沙には珍しいと思ったが、何か焦った態度をとった。

アリス「あぁ。その事については、今に始まった事じゃないから言っても無駄よ。」

魔理沙(…私って、そんなに自分勝手かな?)

会話をしながら、リビングに入り、席に着いた。

アリス「少し、待ってて。料理は出来てるから持ってくるわ。」

透「運ぶくらいなら、手伝うぞ?」

アリス「心配無用よ。手伝なら……たくさんいるから。」

そう言うと、人形が料理を運んできた。

透「おぉ!凄いな!?」

魔理沙「アリスは、人形使いなんだよ。ちなみに、この人形は全て、アリスの手作りなんだぜ。」

魔理沙は、凄いだろ? と言う感じで言った。

アリス「何で、魔理沙が凄いみたいな感じで言うのよ?」

透「アリスの意見に激しく同意だ。」


魔理沙「……さっ、飯が冷めちまう。早く食べようぜ。」

透&アリス(はぐらかしたな……)

食事は、ベーコンエッグにトースト。後、サラダもありどれもアリスの手作りらしいが、美味しかった。

アリス「どうぞ。食後のお茶よ。」

アリスは人形と一緒に紅茶とお菓子を持ってきてくれた。

透「何か、悪いな。朝早くからお邪魔して、飯にお茶まで貰って。」

アリス「気にしないで。透は、お客さんなんだから。」

どこか、アリスは嬉しそうに答えてくれた。

魔理沙「そうだぜ、透。私らは客なんだから、沢山、ご馳走になって良いんだぜ。」

アリス「魔理沙は、もう少しお茶を味わって飲みなさい。」

魔理沙「冷めたら、不味くなっちまうだろ? だから、早く飲むのさ。それに、飲んでるんだから、味わってるだろ?」

透&アリス「……(魔理沙、意味が違う!!)」

透「しかし、良く出来てる人形だよな。」

近くにいた人形を一つ持ち上げて色んな角度から見た。

透「細かい所もちゃんと縫ってあるし…」

アリス「透!! その子は…」

透「ん?……ぐぁっ!?」

持っていた人形がいきなり動き出して、ビンタを喰らった。


アリス「遅かった……」

魔理沙「よく見りゃ、上海じゃないか?」

透「上海?」

人形は飛んで、アリスの元に飛んで行った。

アリス「ごめんなさいね。透。この上海人形は少しだけど、自我があるの。だから…」

透「成る程。スカートの中を見られ、俺にビンタを入れた。って訳か。……上海人形、ゴメン!!」

俺は頭を下げて謝った。

アリス「と、透!?……あっ、上海!?」

上海人形が、俺の方に飛んできた。

上海「………」

頭を叩かれた。

透「?」

アリス「ふふ、許してあげるから、頭を上げてだって。」

透「そうか。ありがとう。」

魔理沙「しかし、人形に頭を下げる人間を初めて見たぜ。」

透「人形とはいえ、女の子のスカートの中を見たんだ。頭を下げて当たり前だろ?」

上海「……♪」

アリス「……へぇ。(上海、喜んでいるわね。 透か……魔理沙の話だから半分、怪しかったけど、本当に良い人みたいね。上海も懐いているし)」

透「うぉっ? 何だ!?」

上海が首に抱きついてきた。

アリス「潔い謝りをしたのがカッコイイ。ですって。」

透「そ、そうか?」

上海「……♪」
……コクン。

上海は大きく頷いた。

魔理沙「はは! 数十分で人形に気に入られるなんて、凄いな透。」



アリス「魔理沙?そろそろ時間じゃない?」

魔理沙「お~。もうそんな時間になっちまったか。……透、次に行くぞ。」

透「次?」

上海「……」

アリス「大丈夫よ、上海。私も用事があるから付いてきなさい。」

上海「♪」

魔理沙「次は!」

透「次は?」

魔理沙「次回だぜ!」


ズコーー!!!(透が転けて滑る音)

透「なんじゃ、そりゃぁ!?」

キョウ

チルノ「よっ!ほっ!はっ!……そんな、弾幕はあたいには、当たらないよ。」

透「くっ!」

確かに、俺の弾幕はルーミアの弾幕にすら及ばない濃度だ。

チルノ「ほらほら、ほらぁ!」

透「うぉ!?」

そういや……避ける練習とスペルカードしかやってないじゃん俺!? 弾幕は、最初しかやってない!?

結果。
チルノが調子こいて弾幕を撃ち、俺が避け続ける感じになってしまった。

――霊夢の結界の中――

魔理沙「面白くない勝負だぜ。」

ルーミア「仕方ないよ。透は、空を飛ぶのも、弾幕で撃ち合いするのも初めてなんだよ?」

霊夢「見てる限り、馬鹿の弾幕は透に当たらず、透の弾幕は馬鹿に当たらず……ね。」

魔理沙「やっぱり、勝負を決めるのは…」

霊夢「透のスペルカードね。」
ルーミア「スペルカードだね。」

魔理沙「私の決めゼリフを取るなーー!!?」


――結界の中でした。――

チルノ「ちょこまかと、避けてないで……いい加減に当たりなさいよ!!」

透「だったら、お前が当たれーーー!!!」

チルノとは、一定の距離を取りながら弾幕を撃ち合っているが……これじゃ、埒があかない。

距離があって当たらないなら、近づいて撃つしかない…よな。
後は、このスペルカードだけか……

チルノ「あぁ。ムカつく! こうなったら…スペルカード!…」

透「!?……させるか!スペルカード!ユメ『狂う者』!!」

チルノ「えっ?」

見せるイメージは……これだ!!






チルノ「あれ? ここは、一体どこなのよ?」

レティ?「チルノ。」

チルノ「レティ!? どうして、こんな所にいるの?」

レティ?「そんなことより、ほら、チルノが大好きなアイスを沢山持ってきたわ。一緒に食べない?」

あたいの目の前に大量のアイスの山が現れた。 どれも、美味しそうな気がする……

チルノ「食べる!食べるわ!
……何、してるの? レティも早く食べなさいよ!」

レティ?「ふふ……そうね。
それじゃ、私も頂くわ。」





ルーミア「チルノちゃん、何か幸せそうだね。」

透「そうか? 今回は、『仲が良い人と大好物を一緒に食べる、チルノ。』…をイメージしたんだよ。」

霊夢魔理沙の時とは、正反対ね。」

魔理沙「………まっ、これで透の勝ちだよな?」

霊夢「そうね。馬鹿妖精は戦闘不能でしょ。」


――夕方――

チルノ「次は負けないからな~~!」

ルーミア「バイバ~~イ♪」

チルノが目を覚まし、ルーミアと一緒に帰って行った。

透「さよなら~~」

帰って行くルーミア達を見送っていると…

魔理沙「私も、帰るぜ。」

魔理沙が箒に乗りながら言ってきた。

霊夢「そっ。さよなら。」

魔理沙「あぁ。……おっと、明日、透に紹介したい奴がいるんだけど、借りていいかい?」

霊夢「か、借りるもなにも、それは、透次第でしょ?」

透「そうだな。行ってみようかな。」

霊夢「ぁ……」

魔理沙「それじゃ、明日迎えに来るから。」

魔理沙は、返事を聞くと飛んで行った。

透「元気だな。……霊夢?」

霊夢「え? えと……ほら、寒くなってきたから中に入りましょ。」

透「あぁ。そうだな。」



それから、霊夢が少し元気がなく、話しかけても…

霊夢「ごめん。なんだっけ?」

って、感じであった。




――夜――

透「何か、今日1日でかなり疲れたな。」

霊夢の元気が無かったのも気になるけど……いいや、眠いし、寝よう。




透「? どこだ? ここ?」

?「ここは、狂う者の世界よ。……持ち主様。」

声をした方をみると、

透「霊夢?」

霊夢が立っていた。

霊夢?「残念。霊夢の姿をしているだけよ。……そうね。キョウって、呼んでくれる?」

透「キョウ、だな。分かった。……ここは、狂う者の世界って言ったよな?」

キョウ「そうよ。本当は、持ち主様をこの世界に入れるのは、気がひけるけど……文句があってね。」

透「文句?」

キョウ「チルノに使った、イメージよ。 この世界は元々、人を殺す世界なのよ? それを幸せな世界にするなんて……私の存在を否定された気分よ。」

透「いや、それは、その……」

キョウ「別に良いわよ。 持ち主様の性格は知ってるし…邪魔者もいるしね。……でも、持ち主様がいつか、殺す世界をイメージする事を待ってるわ。」

そう言うと、キョウの体は透け始めた。

キョウ「私の文句は、これだけだから、持ち主様を元の世界に帰すわね。」

透「なぁ……俺も文句があるんだが?」

キョウ「? 何かしら?」

透「今度からは、名前で呼んでくれ。 これは、持ち主様命令だから、言い訳は無し。」

キョウ「……はは、おかしな人ね。分かったわ。 それじゃ、機会があればまた、会いましょ。透。」

透「あぁ。またな。」


そうして、俺の意識は消えていった。

あたいが勝つ

ルーミア「え?」

透「誰だ?」

魔理沙「馬鹿が来たぜ。」

霊夢「えぇ。来たわね。」

そこに、現れたのは、自分を倒した人間を探していた妖精……チルノだった。

ルーミア「チルノちゃん! どうしてここに?」

チルノ「ルーミアが別れて探そうって、言ったでしょ!!」

ルーミア「そ~なのか~~」

チルノとルーミアが話している横で……

透(なぁ、あの青い妖精みたいのは、誰なんだ?)

霊夢(湖上の氷精 チルノよ。)

魔理沙(またの名を……)

霊夢(幻想郷、最強の…)
魔理沙(幻想郷、最強の…)

透(最強!?)

霊夢(馬鹿よ。)
魔理沙(馬鹿だぜ。)

縁側から、ずっこけてしまった……この瞬間、ひそひそ話終了

透「何だ、馬鹿か。」

チルノ「ちょっと、そこの人間!!」

透「ん?何だ?」

あれ? 何かあのリボン見覚えが……

チルノ「あたいの事を馬鹿って言った!?」

透「いや、違うぞ。」

チルノ「そう?…… なら、良いわ。」

本当に馬鹿らしい。

クイクイ

ルーミアに服を引っ張られた。

ルーミア(ねぇ、透?)

透(なんだ?)



ルーミア(もしかして、私と会うよりも先に、チルノちゃんに会った?)

透(いや、無いと思うぞ。)

ルーミア(会話じゃなくて、頭をぶつけたとか……)

透(頭?)

透「…………あーー!!!」

霊夢魔理沙ルーミア&チルノ「?」

透「再現VTR、どうぞ。」




――透、落下中―――

透「何が、八雲一家の幻想郷の旅だ!! このままじゃ、死んじまうだろ!?」

?「あったいは~♪ 幻・想・郷いち~♪ 最強な~♪」

何か、歌いながら飛んでいるなぁ。 しかも、この角度は……
ぶつかるな。

透「おい。お前~~」

?「?……上から、声が?」

こっちを向いた瞬間
……ゴッツン!!!

そこから、意識を取り戻した時は、ルーミアがいた。


透「以上。再現VTRでした」

チルノ「じゃあ、あんたがあたいを倒した人間!?」

透「倒したどうかは知らんが……これで、たんこぶの謎は解けたな。」

チルノ「たんこぶは、どうでも良いわ! 覚悟しな!!」

透「どういう、こった?」

ルーミア「実はね……」



ルーミア説明中……

霊夢「要は、透をギッタンギッタンしに来たのね。」



魔理沙ルーミアは、どうしてチルノに透の事を教えなかったんだ?」

ルーミア「ん~~、透に会いに行く言い訳が欲しかったからかな~~?」

透「別に会いに来ても良いぞ。友達なんだから、会うための理由なんて要らないだろ。」

ルーミア「会いに来ても良いの?」

透「あぁ。いいぞ。」

ルーミア「わ~~い♪」

本当に嬉しそうだな。

チルノ「あたいを無視するなぁーー!!!」

ルーミアの笑顔で、すっ……かり忘れてた。

チルノ「人間!……あたいと勝負だ!!」

透「人間って、言うな!!
俺には、透って立派(?)な名前があるんだよ!」

チルノ「じゃあ、透! あたいと弾幕勝負だ!!」

透「望むところだ!! 半日の特訓の成果をみせてやる!」

ルーミア「大丈夫かな?」

魔理沙「午前の動きを見るかぎり、透は大丈夫だろ。」

ルーミア「違うよ。心配なのは、チルノちゃんだよ。」

霊夢「馬鹿妖精?」

ルーミア「うん。もし……透がスペルカードを使ったら、チルノちゃんは大丈夫かな? 魔理沙みたいに強くはないんだよ?」

霊夢「大丈夫よ。」
魔理沙「大丈夫だろ。」

ルーミア「どうして?」


ルーミアは、二人を見ました。二人は、「そんなことか」って、顔をしていました。

霊夢「透は、真面目だし、優しいわよ。」

魔理沙「そうだな。 悪人って、キャラじゃないもんな。」

そんな、二人の顔を見て…

ルーミア「うん!………二人ともー!頑張れーー!!!」

透「任せろ!」
チルノ「あたいが勝つ!」


霊夢「それじゃ、透の…」

ルーミア「初めての弾幕勝負ぅ~~」

魔理沙「レディ……ファイトだぜ!!」

バッ!

霊夢達の掛け声を合図に俺達は距離を取った。

チルノ「喰らえ!」

氷りの様な弾幕が、文字通り降ってきた。

透「そんな、濃度の弾幕じゃあ……簡単に避けれる!!」

やっぱり、一人だと、弾幕の濃度は全然違うな。

弾幕を避けながら、空中にいるチルノに接近する。

透「今度はこっちの……番だぜ!!」

チルノに向かって、弾幕を撃った(思えば、俺の弾幕の色って……黒いな。)

魔理沙「私のセリフを真似るなーー!?」

霊夢「別に良いでしょ。 そんなこと。」

ルーミア「弾幕勝負は、始まったばっかりなんだよ~~」